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Social Changeスライドしていく世代たち

Haru
October 19th, 2020

大好きなポッドキャスト『Lobsterr FM』のvol.05のなかで、佐々木さんが語っていたこと「人口推移と社会変化の関係」が、今でも心にのこっていて、ときどき思い出すことがある。数ヶ月前に聴いたエピソードなので、最近また聴こうとアプリ内をスクロールしていた(このごろ配信がなかったので、他の番組に埋もれてしまっていた)。そこで話されていた内容は、少々絶望的でもあるのだが、心にとめておきたいトピックでもあるので、自分なりに理解したことを文字にして書いておこうと思う。

人口の推移と社会の変化には深い関係がある。どの時代にも社会をより良くしようと活動するアクティビストたちがいるのだが、結局、人びとの意見は変わらない。では世論が変化するのはどういうときなのかというと、単純に、ある問題に対する意見を誇示していた人たちが亡くなり、その問題に対してそこまで抵抗がなかった人たちが増えたときである。たとえば、『The Economist』の記事で紹介されている調査結果「アメリカの公共図書館から共産主義の本をなくすべきか」では、世代ごとの意見は異なっており、そして約40年間、それらの世代は意見を変えていない(世代の意見をあらわすグラフは、ほぼ水平方向に伸びている)。つまりは、人びとは意見を変えず、世代の人口に対する比率が世論を決定づける。もちろん、だからといってアクティビストたちが、世論に全く影響を与えていないというわけではない。同記事の他のグラフからも見てとれるように「同性婚を認めるか」や、「政府の支出が少なすぎて、黒人の生活が改善されない」などへの同意の声は、近年で急速に上昇している。しかし、同性婚や黒人の権利に関するトピックでの社会の急激な変化は、稀なことでもあり、他の問題も含め全体的にみると、人口動態が社会変化を決定していると考えた方が、より整合性はとれるのだという。

最初に、佐々木さんのこの話を聴いたときは、衝撃的な思いもありつつ、即座に納得もしてしまった。というのも世代交代の概念自体は、自分も含め、多くの人が認識していることだと思う。学生の頃の進級を例にすると、学年の繰り上がりにともない、上級生はあふれていく。そのあふれた段階、つまりは世代(ここでは学年)が変わった段階で、これまでのルールが再構築されることが多かったのではないか。ある一定の規模をもつ人たちが対象から外れることで、変化が起きることは、ごくごく当たり前なのだが、それを社会のスケールでとらえて、構造的な問題として理解することはあまりしていなかった。

こういった構造的に根深い問題は、気づきにくいだけで、実は至るところにあるのだと思う。たとえば、テクノロジーと労働時間の関係。20世紀のアメリカの家事の歴史では、過去100年であらゆるものが効率化した。家事の手間は、新しい冷蔵庫や洗濯機、電気アイロンや掃除機などの革新的な機械によって劇的に改善されたが、主婦の労働時間は改善されなかった。1920年には主婦が家事に費やす時間は、週51時間だったのに対して、1950年には週52時間、1960年には週53時間となった。1919年にILO(国際労働機関)が設立し、8時間労働制が定められて約100年がたった今もなお、私たちはその労働時間のなかで生きている。もちろん、テクノロジーが発達し、べつの何か(仕事)を見出すようになるのは自然なことではあるのだが、急速な変化の裏側で実は変わっていないものに対して、もう少し違和感を感じてもいいのかもしれない。

「人口推移と社会変化の関係」、「テクノロジーと労働時間の関係」こういった問題に触れると、思考的には「どうせ〇〇になってしまう」といった悲観的な感情にもなりそうだ。『CBC』の気候変動と投資家との関係を分析した記事では、後半部分に「上の世代は、ガスを排出する車に愛着をもっており、少なくともそれらの車が交換を必要とし始めるまで、彼らがガソリンの購入をやめることはないだろう」と、上の世代がいなくならないと化石燃料は消費され続ける、と嘆く様子がうかがえてしまう。

幅広い世代へ思いを巡らせてみること、生産的になっている段階で、ふと立ち止まってみることが大切かもしれない。完全ではないが、「同性婚」や「黒人の権利」などの問題が社会にリーチしたことを私たちは忘れてはいけない。悲観的になりそうな問題を理解することで、それらを把握した上でのアプローチがとれることもまた事実である。社会はアクティビストたちによってマインドが変わるかもしれないし、テクノロジーによって健康的な生産性を身につけることができるかもしれない。今回取り上げた「人口推移と社会変化の関係」は、少しばかり絶望的側面もあるのだが、個人的にはポジティブなマインドでいたい。


🌏What We Read Recently

Spotifyによる政治的アクション

11月3日のアメリカ大統領選を前に、音楽ストリーミングサービスを提供する Spotify が同社史上最大の無党派選挙キャンペーン「Play Your Part」を始めている。 「ポップカルチャーの未来は受動的なものではない」と話すのは、Spotify のUXライターであるアマンダ・ラスニクだ。Spotify for Brands のレポートによると、Z世代とミレニアル世代の68%が、ブランドは社会においてより意味のある役割を果たす必要があると答えており、多くのブランドもこの時代の変化を認識し始めている。既存の路線を離れ、未来のための自発的なアクションが求められているのだ。 Spotify の初めての選挙キャンペーンは2018年に遡る。その年の中間選挙の1週間前、米国内の Spotify ユーザーに対して、格州のユニークで人気のある曲のプレイリストのリンクと共に、投票を促すメッセージを送っている。「無作為に投票メッセージを送ることはできないことは理解していました。 コンテンツ戦略で学んだことが一つあるとすれば、それは、常に最小限で、関連性があり、明確であること。そして、常に一貫した声を維持することです。さらに、音楽はキャンペーンの一部でなければならないこともわかっていました。」とアマンダは話す。 Spotify の選挙運動に対する焦点は、候補者への賛否両論ではなく、投票を奨励することであった。アメリカの投票率は全体的にかなり悪く、特に若者の投票率はとても低い Spotify のユーザーは若者が多くの割合を占めるため、彼らに投票を促すことは大きなソーシャルインパクトをもたらす。また、2019年の欧州議会選挙の時には、国ごとにプレイリストを作成するのではなく、ヨーロッパ各地のトップアーティストの曲をフィーチャーしたプレイリストを作成し、6万人以上のフォロワーを獲得している。 今回のキャンペーンでは、プレイリストや投票の注意喚起だけではなく、アーティストからの投票メッセージ、アーティストへの投票奨励メッセージ、初めての投票者へのメッセージ、ポッドキャストでの選挙PSA、有権者登録専用サイト、投票専用サイト、早期投票情報、不在者情報、投票計画のリマインダーなど、充実したキャンペーンが展開されている。また、選挙のトピックや情報を集めたハブや、従業員の教育や登録を支援することに焦点を当てた社内のアンバサダープログラムも行っている。 このような取り組みは Spotify だけに限らない。Black Lives Matter、LGBTQIA+、パンデミックといった社会的問題を背景に、あらゆる企業がソーシャルインパクトに取り組むようになった。これからは、企業のプロダクトが持つ潜在的な可能性を社会化することが求められてくるのだろう。選挙日まで数週間となったいま、彼らの取り組みが、投票率の増加に寄与することを願っている。一人一人が自分たちの一票の重要性を理解し、Play Your Part を実行することを期待したい。

When Designers Get Political

SNSがもたらすスクリーンタイム

2020年、ソーシャルメディアは、人々が互いにつながるための最良の方法の一つである。それは数軒先の家に住む友人と連絡を取り合うことを可能にするだけでなく、人々が大陸やタイムゾーンを超えて連絡を取り合うことを可能にした。私たちは今日、前の世代では夢にも思わなかった方法でつながっているのである。 しかし、その絶え間ないつながりとともに、気にかかることがある。それは、人々は毎日どのくらいの時間をソーシャルメディアに費やしているのかである。私たちは、ますますつながる生活を受け入れるべきなのか、それともスクリーンタイムを短縮するために努力すべきなのか。その疑問を解消する答えは一人ひとりが自分で作ることだが、まず最初に私たちは「数字」を知る必要があるだろう。 好き嫌いは別にして、ソーシャルメディアは、今は人々の生活の中にあり、それはすぐには変わらないようだ。ユーザーの数は毎日増加していて、毎秒、11人が新規のユーザーとなる。1人がソーシャルメディアに費やす1日の平均時間は約144分、つまり約2時間24分をそれらに費やしていることになる。2020年のソーシャルメディア利用の予測に基づくと、生涯でソーシャルメディアに費やす時間は約6年8ヶ月になる。ただし、ここ数年の傾向として、人々はより多くの時間をそれらに費やすようになっているので、人間は一生のうちに10年以上の時間をソーシャルメディアと過ごすことになるだろう。 しかし、ソーシャルメディアの状況は変化し続けており、昨年、ビジネスインサイト研究グループである『ORIGIN』が発表した、Z世代がソーシャルネットワークをどのように使用しているかを調べた調査結果に基づくと、ソーシャルメディアの使用が年々増加するという傾向が、今後も続いていくかというと、そうではないかもしれない。ORIGINの調査によると、Z世代の64%が1つ以上のソーシャルネットワークから休憩を取り、34%がソーシャルメディアを完全にやめたという。Z世代の大多数は、ソーシャルメディアを使用するのに時間がかかりすぎると感じたため、それらから離れたと報告したが、コンテンツの否定性、プライバシーの懸念なども大きな要因だった。 このZ世代のトレンドが将来の世代で継続する場合、ソーシャルメディアは、実際には、現在よりも人々の生活においてあまり役割を果たさない可能性がある。『Facebook』や『Instagram』のようなメガプラットフォームがピークに達しているとは考えにくいが、データはそれが事実である可能性があることを示している。2020年、2021年、そして2022年以降も人びとは多くの自分の時間をソーシャルメディア上で過ごすことになる可能性が高いが、画面が飽和状態になるにつれて、その活動は鈍くなっていき、最終的には逆転する可能性がある。 しかし、ソーシャルメディアについてどのように感じていても、少なくとも今のところ、「数字」はそれが私たちの生活の大部分を占めていることを示している。

Average Time Spent Daily on Social Media (Latest 2020 Data)


📽The Movies We Watched

デヴィッド・アッテンボロー 地球に暮らす生命

生態系ドキュメンタリーを多数手がけた、動物・植物学者であるデイビッド・アッテンボローが、地球における生命の進化の歴史をふり返り、失われていく野生を憂い、未来に向けた展望を語るドキュメンタリー作品。

TENET

「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督による超大作。この映画では、「時間の逆行」がテーマになっており、現在から未来に進む時間のルールから脱出するというミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿が描かれている。CGを極力使用せず、「本物」で撮影することにこだわり続けるノーラン監督。劇場での映画体験をより特別なものにしてくれます。

ワンダー 君は太陽

主人公は生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっている少年オギー。幼い頃から学校に通わず母イザベルと自宅学習をしてきたが、小学5年生になって初めて学校へ通うことになる。初めはばい菌扱いをされ、周囲から避けられていたオギーだが、彼の静かな強さと優しさが周囲の人々を変えていく。この作品の主役はオギーだが、登場人物それぞれの苦悩にも焦点を当てており、誰にとっても人生はタフであると同時にとても素晴らしいものだと教えてくれる。見終わった後は涙と幸福感で満たされました😭

ミッドナイト・イン・パリ

ハリウッドの脚本家から小説家へと転向し、悪戦苦闘中の主人公ギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者のイネス(レイチェル・マクアダムス)と旅行で訪れたパリで、1920年代にタイムスリップするという不思議な体験をする。 午前0時になるとやってくるクラシックカーに乗ると、行き着く先で出会うのは、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなどの名だたる芸術家たち。ギルはピカソの愛人、アドリアナに心を惹かれながら、現代と過去を行き来し、自分自身を見つめ直していく。「過去への憧れと決別」もひとつのテーマとなっている、ロマンティック・コメディです😊

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Live, Not Just Survive

最近聴いた TAKRAM RADIO で、話し手の渡邉康太郎氏が、歌人の穂村弘氏の言葉を引用しながら、「生きのびること」と「生きること」の違いについて語っていた。「生きのびること」とは、ご飯を食べる、睡眠をとる、お金を稼ぐ、といった万人にとって明確で有益なこと、要するに、「役に立つこと」を意味する。

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The Benefit of Corporation

Toasterr『Diverse Perspectives』で紹介した「B Corpを求める理由」という記事の内容からも感じられるように、B Corp認証を得た会社(いわゆる社会的利益を追求する会社)や、ミッションやストーリーなどの価値観で駆動している会社の存在は、これからの企業のあり方を変化させていくのだろう。

September 21st
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