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Recognizing Bias年齢という差別

Sentaro
July 27th, 2020

前回紹介した「美白製品というレイシズム」という記事のなかで、「美容ブランドは、美白・美肌効果を目的とした製品に組み込まれた人種差別に対処するよう、大きな圧力に直面している」と書かれていた。美容ブランドは、美白・美肌製品の他に、エイジングケア製品をブランドの主軸として展開しているところも多く、若々しくみえる素肌や外見への変身をコアメッセージとして発信している。エイジングケア製品を利用する人は「若くなりたい」という願望からそれらを消費するが、彼ら・彼女らに限らず、多くの人が「若さ」への憧れをもっているのではないだろうか。

2年程前、オランダに住む当時69歳の男性が、公式文書の生年月日を変更して、20歳の若返りを求めた裁判が話題になった。彼は年齢が原因でさまざまな場面で差別を感じていると話し、年齢が雇用の機会や成功率に影響を与えているとの考えを示した。この裁判で、彼の要求は承認されなかったが、「年齢差別」ということについて考えるきっかけを与えてくれた。

年齢差別の議論は、雇用に関するものが多い。アメリカでは、1967年に ADEA(Age Discrimination in Employment Act)が制定され、40歳以上の人に対して年齢を理由に解雇したり、差別的な扱いをしたりすることは法律的に禁じられている。しかし、企業は「デジタルネイティブ募集」といった言葉を利用し、法律の穴をかいくぐり、若い人を優遇しているのが現実だ。2019年にはGoogleが年齢を理由に応募者の採用を拒否したことに対する集団訴訟が発生している。こういった問題の背景には、誰しもがもつ年寄りに対するネガティブな「無意識バイアス」が関係している。

美白が美しさの象徴だとメディアなどを通して無意識のうちに埋め込まれてきたように、企業のマーケティングなどが与える年寄りのネガティブなステレオタイプが、消費者の無意識バイアスを形成している。「ミレニアル世代」「団塊世代」といった言葉自体が年齢差別であること、企業の広告が人々のステレオタイプの形成に与える影響が大きいということを多くの人が認識しなければならない。ではどうすれば、この無意識バイアスを克服することができるのだろうか?

ある研究では、加齢と大人の発達に関する話し合いや世代間の交流の機会を持つことが、若者の年齢差別に関する偏見を減少させる効果があることを示している。地域コミュニティの減少、老人の単独世帯の増加により、世代間で交流する機会が極端に減ってしまっているなかで、意識してコンタクトの機会を増やすことは一つの方法だ。また、企業やメディアも名前の横に年齢を表記することをやめたり、「おじさん」などの差別用語をトレンドワードとして利用するのではなく、より配慮の幅を広げることが必要である。

人種やジェンダーの差別と比べると、年齢の差別はそれほど大きな問題として認識されていない。その要因の一つとして、いつかは必ず、誰もが「差別される側」にまわってしまうということがあげられる。しかし、世界一高齢化が進んでいる日本だからこそ、この問題により真剣に向きあうべきではないのだろうか。現状の日本は年齢差別に関する認知が遅れているのが実状だ。私たちは努力しなければならない。初めからバイアスのない社会を目指さなくてもいい。人種やジェンダーの問題が長い年月をかけて人々に意識されるようになったように、まずは一人一人が自分の無意識のバイアスを認識することが長い道のりの大きな一歩になるだろう。


🌏What We Read This Week

話の聴けない男たち

自分を担当しているお医者さんが男性であるか女性であるかは、生死に関わる問題だということを新しい研究が示している。フロリダ州の緊急治療室、58万人の心臓疾患者を対象にした研究では、主治医が女性の患者の方が主治医が男性の患者よりも死亡率が低かった。また、男性医師に治療を受けた女性の生存率が最も低かった。以前の研究でも同様の結果が生まれていて、2016年の150万人以上のメディケア患者を対象にしたハーバード大学による研究では、女性医師に治療を受けた患者は、男性医師に治療を受けた患者よりも30日以内の死亡または再入院する確率が低かった。 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院の研究者たちは、医師のコミュニケーションに焦点を当てた研究を分析した。その結果、女性医師は男性医師に比べ、患者の話を聴くことに時間を費やしていたことがわかった。『Women Are Not Small Men』の著者であるニーカ・ゴールドバーグは、この研究は男性医師を軽視するために使用されるべきではないが、「医師が耳を傾けること」がいかに重要であるかを示しているという。 ゴールドバーグによると、最近ある患者が、男性医師が時間をかけて説明したり、質問に答えたりしないので、女性医師を探していると言ったという。「患者はただ正しい診断をして欲しいというより、しっかり話を聴いてもらいたいと思っています」とゴールドバーグは言う。 スタンフォード大学医学部のドン・バー教授は、医師のコミュニケーション方法における性差について、よく学生と議論をする。彼によると、ある研究では、プライマリ・ケアの女性医師は患者の話を中断するまで平均3分間待ったが、男性医師は47秒しか待てなかった。 「聴くこと」については、医療の世界だけの話ではないし、また研究結果だけを見て性差による差別もしてはいけない。ただ、「聴くこと」という行為が私たちの仕事や生活において重要な問題になり得るということは認識しておかなければならない。

Should You Choose a Female Doctor?

ケニアのファッションが変わるとき

ケニア人は古着が大好きだ。ケニアは東アフリカで最大の古着輸入国であり、多くのケニア人が流行の服を古着市場で探す。キャサリン・ムリンゴは、カナダのカラフルなブラウスやオーストラリアのトレンチコート、イギリスからレザーのハンドバックなど世界中から集まった古着をケニアやボツワナ、ウガンダ、タンザニアなどの海外市場に売買するビジネスを行っている。 しかし、今年の3月下旬、ケニア政府はコロナウイルスの蔓延を抑制するための予防措置として、古着の輸入を禁止した。政府の決断はムリンゴのような定価価格の輸入品に依存している何百万人もの人に大きなダメージを与えた。だが、この状況がケニアの繊維産業の復活という予想外の利益をもたらす可能性があると関係者は話している。 ケニアは、長年にわたり、東アフリカの他の国々とともに、現地の製造業を後押しするため、古着の輸入を段階的に廃止しようとしてきた。しかし、アメリカ市場への減税など提供する「African Growth and Opportunity Act」の適用国から除外されるため、輸入衣料品の輸入禁止を断念してきた。だが、今回のコロナウイルスの影響で地産地消の服を作るケースが増えてきている。 ファブリックショップ「the Textile Loft」は、パンデミックをきっかけに自らのブランドを立ち上げた。また、東アフリカ、ヨーロッパ、アメリカの小売業者向けに生地の選定、デザインを行っている「Frederick Bittiner Wear」はローカル向けのレギンス、Tシャツ、ベストの生産に転向している。古着をトートバッグや財布に変身させる事業を行っている「Suave Kenya」は、地元のタンナーや繊維工場からの調達を検討している。「もしローカルに生産できれば、雇用を生み出し、業界を成長させることになる」と、Suave Kenya創業者のモハメド・アウェイルは言う。 パンデミックはネガティブに語られることが多いが、ケニアの例は私たちに希望を与えてくれる。ケニアがこの逆境を乗り越えたとき、そこから生まれるファッションの可能性に私たちは驚くことだろう。

Used Clothes Ban May Crimp Kenyan Style. It May Also Lift Local Design.


📽The Movies We Watched

THE WAY HE LOOKS

盲目である主人公レオ、レオと幼なじみである親友のジョバンナ、さらにある日やってくる転校生ガブリエルとの3人の関係性を描いた物語。 複雑な問題をテーマにしているのにも関わらず、ストーリーはとても爽やかです。途中、ガブリエルに嫉妬するジョバンナの姿が可愛らしいです🙂

ROMA

政治的混乱に揺れる1970年代メキシコを舞台に、とある中産階級家庭の家政婦の視点から描かれたNetflixオリジナル作品です。アルフォンソ・キュアロン監督自身の幼少期の体験を交えた自伝的作品でもあり、心揺さぶる家族の愛の物語が美しいモノクロ映像で紡ぎ出されています。 終盤の海辺のシーンや車から景色を眺める家政婦のクレアの表情がとても印象的で、クレアがただの召使いではなく、家族の一員として描かれているところに尊さを感じました。

WAVES

第89回アカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」をはじめ、「レディ・バード」や「ミッドサマー」などの話題作を手がけてきた今アメリカで最も注目されている、A24の最新作。フランク・オーシャンをはじめ、ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェスト、レディオヘッドといった錚々たるアーティスト達の、今の時代を映す31曲を採用。それぞれの音楽が登場人物の感情とリンクし、観ているものに大きな共感をもたらしてくれる作品です。 SpotifyApple Musicでサウンドトラックが公開されています🎷🎻🎺

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ある調査によると、アメリカ人の8割はトランスジェンダーの知人がいないという。よってトランスジェンダーに関して人々が得る情報の多くはメディアから来ている。トランスジェンダー当事者の人たちも

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A Small Step Means A Lot

アメリカの Black Lives Matter ムーブメントが起きてから、「人種的特権」というものを目にするようになった。アメリカにいる白人は、何もしていなくても、その肌の色だけで相対的に有利な地位を獲得しやすく、入学、入社、昇進などのあらゆる側面で優遇されやすい。

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©︎ 2021 Toasterr
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