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Meaning of Family家族とは何か

Sentaro
September 7th, 2020

家族とはなにか。一見すると誰もが答えられそうなこの簡素な問いについて、少しだけ考えてみた。遺伝的な繋がりがあるか、戸籍上に家族関係が記載されているか、日常の生活を共にしているか。真剣にこの問いに向き合おうとすればするほど、家族という概念の複雑さが浮かび上がってくる。

一般的に家族について語るとき、血縁関係を持った父・母・子の組み合わせからなる核家族が、「自然な」家族の形として認識されているのではないか。遺伝的な繋がりを持つことが、家族と非家族の境界線をより強固なものにしており、私たちは人工授精や体外受精などのあらゆる方法で、遺伝的な繋がりを持った家族を求める。そして、現代の生殖技術の進歩によって、未来ではより多様な家族の形が生まれるのだろう。

アーティストであり、デザイナーの長谷川愛氏の作品『(Im)possibole Baby』は、実在する同性カップルの一部の遺伝情報から出来うる子供の姿、性格等を予測し「家族写真」を制作している。このような技術には生命倫理の問題がつきまとうが、将来的に同性間の子供を持つことができる可能性を示唆している。この作品は未来の家族の多様性について考えさせてくれると同時に、私たちが持つ血縁主義への執着が顕在化しているとも言えるのではないか。

親になり、家族になることは養子縁組でも実現可能だが、今の日本では里子や養子縁組の数は他国と比較すると多くはない。原因として、血縁を重んじる文化や、経済的な支援などを含めたそもそもの制度が知られていないことがあげられる。里親制度や特別養子縁組制度の普及に加え、血縁主義の価値観が解体されることは、何らかの事情で不幸な状況に置かれてしまった子供たちのより良い人生の選択肢が増えることに繋がる。

南山大学の奥田太郎教授は彼の論文のなかで、家族の機能(性的機能、生殖的機能、経済的機能、教育的機能)はすべて、技術的には家族以外のものが替わりに担いうることができると話している。家族の機能に目を向けることで、家族というものは血縁性だけで定義されるものではなく、より広い意味を持った概念として捉えることができる。私たちは、現在認識されている家族の形をアップデートしていくべきなのかもしれない。

映画『万引き家族』は、血縁関係が曖昧な6人家族の物語が描かれている。詳しい内容は控えるが、この物語のなかで拾われた女の子は、血縁関係のある家族と拾ってくれた新しい家族、どちらが彼女にとって幸せなのだろうか。どちらが彼女の本当の家族と言えるだろうか。また、拾われた男の子が警察に捕まった時、家族は彼を置いて逃げようとしたが、もし血の繋がった家族なら、そんなことはしなかったのではないか。この作品を通して、そんなことを考えさせられた。(この作品の監督である是枝裕和氏は、この他にも『海街diary』や『そして父になる』といった家族とは何かを問いかける作品を制作している。)

LION ライオン 25年目のただいま』は、5歳のときに迷子になり、養子としてオーストラリアで育った青年サルーが、25年ぶりに家族を探そうとする実話を描いた作品だ。オーストラリアに住む養父母は、サルーともう1人の孤児をインドから養子として迎える。ある時、家族の関係がうまくいかず、サルーと養母が対話をするシーンがある。「母さんに本当の子どもがいれば、こんなに苦しまずにすんだだろう」とサルーは言う。すると養母はこう答える。「子供は産めたのよ。でも産まずに2人の養子をもらうと決めたの。あなたたち2人を家族にして生きていこうと決めたのよ。世界は人であふれている。子供を産んで世界がよくなるか。不運な子供たちを助ける方が私にとっては意義があるの。」

私は血縁主義を否定しているわけではない。もし、自分が子どもを持ちたいと思った時、養子ではなく、血の繋がったの子どもがほしいと思うだろう。それでも、家族の多様な形や家族の役割を理解することが大事だと思う。血縁関係を超えた、より高い次元で家族について考えることがより良い社会を形作ると信じている。


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対話から生まれる科学的リテラシー

科学教育における長年の研究の結果、事実を教えるだけでは、その人に植え付けられた「誤解」を変えようとしても、効果がないことがわかりました。人々の科学に対する不信感の問題は、実際の知性や全体的な教育とはほとんど関係がありません。結局なところ、教育を受けた人の中には、いまだに地球は平らだと信じている人もいるし、気候変動に関しては意識さえしません。誰かに新しい考え方を受け入れてもらうには、脳だけではなく、その人の社会的、文化的、感情的な要因を幅広く理解する必要があります。 科学的な理論は、議論のプロセスを通じて証拠の上に構築されています。カリキュラムで教えられるすべての事実や理論は、証拠を用いて疑問を投げかけ、テストされなければなりません。生徒は自分自身で観察したり、データを収集したりするのが理想です。地球が丸いことを示すための実践的な方法はたくさんある。たとえば、パースの教室からバリ(ほぼ同じ経度)にある別の教室とオンラインで交流して、1メートルの棒で影をつくって測定し、その結果を使って地球の円周を計算することもできる。こういったプロセスを反映して、生徒は証拠に基づいた議論を実践する必要があります。科学は人々の共同体の中での対話として教えられるべきである。 科学の学習では感情が大きな役割を果たします。社会的な問題(ロックダウンなど)や、科学技術に関連する問題(5Gネットワークなど)は、学生から様々な感情を引き出すことができます。いくつかの研究では、このような社会的な問題について、科学の授業中に生徒が自身の考え方を表現することは、生徒の科学に対する共感性と気質を高めることができるとわかっています。 科学的リテラシーを身につけることは、教育上ずっと前から大事にされており、決して新しいものではありません。しかし、COVID-19は、その重要性をより緊急性の高いものにしました。科学的リテラシーは、もはや達成すれば良いという教育上の願望ではなく、ポストトゥルース時代における私たちの生き残りに影響を与える、非常に重要な関心事なのである。

Teach questions, not answers: science literacy is a crucial skill

女性のための立ち小便デバイス

ロックダウン以来、女性やトランスジェンダーの男性が立っておしっこをするのを助ける器具の売り上げが伸びている。 パンデミックにより、公衆トイレの閉鎖に加え、パブやカフェがシャッターを閉めるなかで、トイレの問題は女性たちに深刻な影響を与えている。女性にとって、公共の場で下着を脱ぐ行為は大きな問題であり、ある女性は「お尻を見られてしまうので、茂みには行きたくない」と話す。また、トイレに行かなくてすむように水分補給をやめ、体調を崩す女性も存在する。 この問題の解決策として今、「Shewee」というプラスチック製のアイテムの需要が急速に伸びている。ある女性は「これなら、男性と同じように簡単におしっこができる」と言う。Shewee の売上はロックダウンが始まってから700%も増加しており、その他にも、ダンボールを素材に使う The Pee Pocket は売上が800%急増し、The Tinkle Belle や P Style も需要の著しい増加を確認している。「それは立ち小便革命のようなものでした。」と言うのは、90年代後半に Shewee を発明したサム・ファウンテンだ。彼女は「男性は公衆トイレを使用することに問題はありませんが、女性にはあります。お尻を出してすべてのものに触れなければならず、大行列ができます。」と話す。 多くの公共トイレが再開された今でも、人々はトイレを使うことを避けている。ある女性は「パンデミックが流行しているので、立ってした方が衛生的で安全だと感じます」と話す。婦人科医のジェン・ガンター医師によると、立って小便できる装置を使った方がコロナウイルスの面で安全であることを示唆する証拠はほとんどないという。 また、ガンター医師は「すべての女性が立小便をできるわけではない。排尿は複雑な反射です 」と言う。「立っていることは、女性が膀胱を空にするための自然な位置ではありません」と彼女は続ける。公共のトイレの提供の平等化に広く取り組んできた、シカゴ大学法学部のメアリー・アン・ケース教授は、Shewee のような女性のための代替品の多くの問題について、「それらは女性の体や習慣について考慮していないことです」と話す。これらの装置を発明している人々のほとんどは、女性が男性と同じように排尿できるようにしようとしている。「例えば、女性用ジーンズのチェックは、女性の尿道のために配置されていません。」と彼女は言う。 しかし、Shewee などの器具が、女性やトランス・コミュニティに求められていることも事実だ。作家でありパフォーマーでもあるソーマ・ゴッシュさんは言う。「このアイテムは、束縛から解放してくれる。立ち上がって素早く安全におしっこに行けることは、私が望む男性の特権です」。

The Shewee revolution: how 2020 has changed urination


📽The Movies We Watched

英国王のスピーチ

幼い頃から吃音症を抱えているイギリス王ジョージ6世(コリン・ファース)。数々のスピーチという公務があるなかで、言語障害専門家のライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)とともに、自身の吃音と向き合いそれを乗り越えようと努力していく。当時のイギリスはドイツと緊迫した状況。ドイツのポーランド侵攻を受けて、開戦に揺れる国民に向け、世紀の一大スピーチに臨む。


🧐Cool Things of The Week

5 Art Accounts to Follow on Instagram Now

激動と不安に満ちた世界で、私たちは何を観て、何を読み、さらには何を信じ、何を疑うべきか。 パンデミックに突入して数ヶ月が経ち、アメリカでは大統領選挙が近づくなかで、『ニューヨーク・タイムズ』がアートをテーマにした5つのインスタグラムアカウントを紹介しています🖼

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